2015.06.24 UP

NANA Inoue Exhibition
『The world of Inside out wild cat』feat.Tetsuji Sato(ten sen men)
~井上奈奈 絵本 ウラオモテヤマネコ 原画展~

画像1 ウラオモテヤマネコ表紙
会期:
2015.6.24 wed - 30 tue ※月曜休み
企画:
EARTH+GALLERY(株式会社ZEエナジー)
入場料:
無料
時間:
11:00-19:00 (最終日15時まで)

この度、EARTH+GALLERYでは、取り扱い作家 井上奈奈の絵本『ウラオモテヤマネコ 』 出版を記念し 、
「『 The world  of Inside out wildcat』 feat . Tetsuji Sato (ten sen men)  井上奈奈 絵本 ウラオモテヤマネコ原画展」を開催いたします。

-『ウラオモテヤマネコ』は、たんなる『絵本』の世界にとどまらず、『絵本』というツールを使って、人の意識を変え、実際の社会活動に貢献し、島での生態系 バランスを回復するまでの一連のサイクルをアート作品としたもの- と井上は語ります。

”物語性”はこれまでも、彼女の制作の重要な要素と言えますが、今回の『ウラオモテヤマネコ』では”物語”のみならず、その”物語”を通じ、生命のあり方と読み手にそっと投げかけます。

猫をこよなく愛する井上が 手がける『ウラオモテヤマネコ』は、『絵本』というカテゴリーを越え社会問 題を孕んだ、意味のある作品として、観るものに一種の”わだかまり”を残します。今回の作品は、「1つの建築的作品という位置づけ」として捉えている、と彼女は言います。

本展では、絵本に登場する約20点の原画とともに、ゲスト作家にメディア アーティストの佐藤哲至さんをお招きし、展示空間に絵本 ウラオモテヤマ ネコの世界を表現します。 また、コラボレーションミュージックライブや、こどものための読み聞かせ など、『ウラオモテヤマネコ』の世界をお楽しみ頂けるイベントに加え、ヤマネコ 保護プロジェクト関連ワークショップや、イリオモテヤマネコの今後を考える トークイベントなど、絵本のテーマであるイリオモテヤマネコの存在を展示を 通して考える場もご用意しております。
この機会に是非ご高覧、ご参加いただけますよう、ご案内申し上げます。

 ▼ 関連イベント詳細•お申し込み先 
http://earth-plus.net/yamaneko_event.html

 




井上奈奈 / NANA INOUE

<略歴>

京都府舞鶴市生まれ、東京都在住。猫と活字をこよなく愛する画家・アーティスト。
幼少期は白と黒に囲まれた環境で育ったことから、色のついた画材を使うことがなかった。
16歳のとき、単身アメリカへ留学、美術を学ぶ。
主に女性や動物との共生をテーマとした物語性を感じる平面作品を制作。
国内外での個展やアートフェアで作品発表する傍ら、ワークショップや、ミュージシャン・建築家など
多様なクリエーターとのコラボレーションを展開している。

<受賞展示歴>

1997 Beaufort Country Arts Council’s 1997 Art Student Competition Award ( U.S.A / NC )
2004 積水プロダクトデザインコンペ入賞
2005 Amuse art jam 選出・展示 2005年 Amuse art jam参加 ( 京都・京都文化博物館 )
2007 第20回「日本美術の輸出」展 in Shanghai Art Fair 2007 (中国 / Shanghai Mart )
2008 文化庁若手クリエーター創作支援事業・奨励費拝受 ( 京都 / まいづる智恵蔵 )
2009 2009年丹波 森公苑レジデンスアーティスト選抜個展 ・ ワークショップを開催 ( 兵庫 / 丹波の森 )
2010 ART TAIPEI2010 招待出展 (台湾 / Taipei World Trade Center )
2010 zank & mars Gallery 個展 ( U.S.A / NY )
2012 新美南吉童話企画「手ぶくろを買いに」創作展 ( 愛知 /ギャラリー蔵のまち•国の登録有形文化財小栗家住宅内 )
2012 「生き物たちの鼓動展」( 浅草 / ギャラリーアビアント)
2013 「文学とアートの出逢い」~ 高橋千裕・ 御子柴大三・ 山本冬彦の推薦作家による 装幀画展 ~ 参加
(東京六本木 / PALETTE GALLERY) 東京装画賞2013 入選
2014 「さいごのぞう」 原画展開催 ( 京都 /まいづる智恵蔵) ( EARTH + gallery / 東京 )
2014 成田市制施行 60周年記念協賛事業「さいごのぞう ( 千葉 / なごみギャラリー)」企画展示

<出版>

絵本「さいごのぞう」出版
絵本「 ウラオモテヤマネコ」 2015年 春 出版

「高校生の親に贈る21のアドバイス」(学事出版) 装画担当
「 人間発達の地域づくり」( 国土社 ) 装 画担当
「アメリカ特許実務マニュアル」(中央経済社) 装画担当

 


◎ ゲスト作家

佐藤哲至 さとう・てつじ

てんせんめん代表
heso×佐藤哲至「カラヤンの食卓」
砂曼荼羅「constellation#01-MANDARA」

1981 年茨城県出身。人間を認知する為の要素を極限まで切り 落とした映像作品「blank」(2008~) や、
音声認識で言語の論理 を嗅ぎ付ける1000 匹の虫「論理虫の標本箱」、
自作の砂プリンタによって制作された砂曼荼羅「constellation#01-MANDARA」 など。
最近は社会制度と芸術活動の間に注目して記号表現の分析を続けている。
美術活動組合イムネ申。サカモトサトウ、広報 メディア『てんせんめん』主宰。

 




井上奈奈・作 絵本『ウラオモテヤマネコ』の読み方

「イリオモテヤマネコとウラオモテヤマネコはどちらが天然記念物ですか?」、「イリオモテヤマネコは天然記念物ですが、ウラオモテヤマネコは妄想危険物です。これが見えると、危険なまでに疲れてるということになります。」というネット上の問答があった。クスッとわらってしまった。NHK番組に出てきたじゃじゃ丸も「うらおもて山猫」だが、誰が考えたのだろう、「ウラオモテヤマネコ」というネーミング。西表島が中国大陸と陸続きの頃に渡ってきたといわれ、世界中でも西表島だけに100匹のみ生息していると推測されている絶滅危惧種は「イリオモテヤマネコ」のほうだ。

この「ウラオモテヤマネコ」は、井上奈奈さんの絵本にも棲んでいる。とくに名前はないらしい。彼の口癖は「まぁ裏の世界からみれば裏が表で表は裏なのだけれど」である。妄想危険物には違いないけれど、伝えたいことがあるから、敢えて絵本の中に現れてきたらしい。だから、絵本の裏表紙の更に裏側にはお手紙が潜ませてある。彼は「まぁ裏の世界からみれば、裏表紙が表紙で裏側はその表なのだけれど」と言うだろう。このお手紙は、裏の世界から見れば、絵本の表紙に添えられているということなのだ。

絵本によれば、裏の世界の人跡未踏の美しさに魅せられて皆がやってきてしまうと、裏と表が入れ替わって、元の表の世界が人跡未踏となり、元の裏の世界が現実に皆が住む世界となってしまう。人跡未踏の美しさは人が来ないからこそ保たれるのであって、天然記念物指定されている絶滅危惧種が年に何匹も交通事故で死んでしまうような現代の西表島では、もはや裏と表が入れ替わりつつあるのだ。声高に描かれている訳ではないけれど、作者が昨年1月に出版した絵本「さいごのぞう」と通じる、痛みや悲しみ、切なさを感じさせられる。

2015年6月に刊行予定のこの少し不思議なネコの物語については、書店等でイベントが展開されるほか、東京木場のEARTH+galleryでも、メディアデザイナー佐藤哲至氏とのコラボレーションにより拡張現実(AR)を活用して、絵本の世界を示すインスタレーション作品や原画が展示され、様々なイベントが行われる予定だ。興味がある方は、ぜひ、この期間ギャラリーに棲んでいるかもしれない、ウラオモテヤマネコに会いに来て欲しい。

ー 深瀬記念視覚芸術保存基金 深瀬鋭一郎 ー

 




誰も気づかぬうちに 風も 空も 光も
今まで暮らしていた世界と
すっかり同じになっています

~ウラオモテヤマネコより

誰も知らないのに、みんながすでに知っている世界。ウラオモテヤマネコはきっとそんな世界に住んでいます。その場所は「無意識」と呼ばれる世界ではないでしょうか。
ある時、少女は、ウラオモテヤマネコに出会い、見たこともないウラの世界について知ることになります。はじめのうちは神秘的に見えたウラの世界も、再び無意識のうちにオモテの世界と同じになってしまいます。少女はウラもオモテも人間の無意識によって生み出される後戻りのできない同じ世界だったことに気づきます。

可愛らしい絵とは対照的に哲学的な内容のこの絵本は絶滅危惧種のイリオモテヤマネコの保護活動の一環として生まれました。絶滅危惧種となってしまった原因には経済活動や、利便性の追求、交通事故といった、人間が無意識に引き起こす問題が根底に流れていることが、プロジェクトに関わることでわかってきました。

ウラオモテヤマネコは、そんな人間の無意識に働きかけるために描き出された、失われた命のメタファなのです。井上奈奈の原画とともに、佐藤哲至は触れることができないウラの世界を表現するための方法として、拡張現実(AR)という技術を使って新しい物語の見せ方に挑戦しています。

お子様から大人の方まで楽しめる展示となっておりますので、皆さんに足を運んでいただければ幸いです。

ーてんせんめん 佐藤哲至ー